レペゼン 

日々の気づき、目標設定etc

振り子を意識する

市場にはそれ自体に意思が有り、主に(ファンダメンタルズではなく)投資家心理の変化によって引き起こされる市場のバリエーション尺度の変化は、ほとんどの短期的な証券価格変動の原因となる。この投資家心理も振り子のように揺れ動く。悪材料しか見当たらない時、株価は最も割安となる。見通しが暗ければ、投資家は身動きがとれない。大胆不敵で抜け目ない一握りのバーゲンハンターだけが、進んでポジションを変える。やがて、そうした動きが他の投資家の注意をひいたり、見通しが少しましになったりすると、相場は上がりはじめる。しばらくすると、見通しは改善の兆しを示す。人々は状況が上向き始めたと考え、あまり想像力のない物でも買いに動き出す。そして景気と相場が底を脱すると、公正価値により近い株価で買うようになる。やがて熱狂の準備が整う。景気や企業業績が改善し、人々は進んでそれにあやかろうとする。大衆は先に利益をあげた投資家に刺激を受け、仲間入りしようとする。物事にはサイクルが有るということを無視し、相場は永遠に上がり続けると思い込む。だからこそ、私は「賢明な人が最初にやること、それは愚か者が最後にやることだ」という古い格言が好きなのだ。特筆すべきは、超強気相場の終盤になって、好況が未来永劫続くことを織り込んだ価格で進んで株を買う人々の行動だ。

 

強気相場の三段階について教わってから35年後、サブプライム住宅ローン担保証券をめぐる混乱が広がり、世界危機へと波及することを人々が懸念しはじめたとき、私は逆のパターン、つまり弱気相場の三段階のプロセスを思いついた。

●まず、思慮深い一握りの投資家が、強気相場の中にあってもそれがずっと続くとは限らないと認識する。

●次に、多くの投資家が状況が悪化していることに気づく。

●最後に、すべての人が状況が悪化の一途をたどると思い込む。

やがて第三段階に突入すると、人々は解決策を探ることを諦めるだろう。だが、金融業界が本当に崩壊してしまわない限り、一世一代の投資機会が訪れる公算が大きい。相場の大底は、潮がまた満ちてくることをすべての人が忘れたときにやってくる。

 

こうしたプロセス全てに関して重要なのは、何が起きているのか認識し、それがどのような結果をもたらすのか理解している人にとって、機会が生じるということだ。全ての出来事や機会は一連の流れの中で生じるものであり、どれも独立して起きるものではない。むしろ、すべては何度も繰り返されるパターンを構成する要素であり、それを理解すれば、うまく利益を上げることも可能なのだ。

 

我々が確信を持てることはごく少ないが、その一つとして挙げられるのは、行き過ぎた相場の動きは反転するということだ。振り子が永遠に一方向へ進み続ける、あるいは一端にとどまり続けると考えるものは、いずれ大損するだろう。一方振り子の挙動を理解している者は大儲けする可能性が有るのだ。